リウマチ17年目の過ごしかた。

リウマチになって17年、30代の記録です。

17年の経過を簡単に⑤「エンブレルへの耐性??生活の変化と体調不良」

前回は、レミケードの点滴からエンブレルの自己注射に変えた理由や、エンブレルに変えてよかった点などについてを書きました。

今回は、12年使い、とても身体に合っていたエンブレルをなぜ現在使っていないのか?その理由について書いていきたいと思います。

 

レミケードではアレルギー反応が出てしまう私にとって、病院で1日かかる点滴の治療に比べ、アレルギー反応も出ず自分で打つことのできるエンブレルは、とても便利で身体に合っていた薬でした。

調子の良い時には全く元気な人のように過ごすことも出来ました。

走ることも、仕事をすることも、趣味のピアノを弾くことも、手を使った細かい作業をすることも、前触れなく突然やってくる手首、肩、膝を中心とした腫れに見舞われさえしなければ、多くの時間をごくごく普通の20代のように過ごすことが出来ました。(ただ、あくまで元々寝たきりになることを覚悟していた私にとっての元気や普通であるので、持病のない方とは普通という基準にズレがあると思います)

 

そうやって突然やってくる腫れや痛みに怯えつつも、多くの時間を自分としては十分に健康だと思える状態で過ごせていた私にとって、最も恐れていた事態は自分にとっての奇跡の薬であるエンブレルが効かなくなることでした。

いつもそんなことを考えていてはそれこそ身体に悪いだろうと思いつつ、それでも心の底でいつもどこかで考えてしまい恐れてしまう、、、自分にとっては一生付き合っていく悩みなのだろうと感じていました。

同時に、不安ではあるものの、”でもそんなこと起こらないだろう。こんなに良くなって、本当に痛かった時の辛さや経験は昔々の思い出という感じになっているのに、また悪くなるなんて想像もできない。”といった楽観的な気持ちもあり、どちらかというとそちらの方が真実に違いないと信じていました。

 

それに、もしそんなことになったら自分はどんなにショックを受けるだろう、あの痛みにもう一度耐えるなんてとても出来ると思えない、、、。

それにそうなったら、再び乗り越えようと頑張れるだろうか?

一度乗り越えたと思ったのにダメだった経験をして、希望を持ち続けられるのか?

そういった、心の健康面への不安もかなり大きかったので、冗談でもそんなことは起こって欲しくないと切実に願い、きっとそうはならない!と信じていました。

 

その頃の自分はエンブレル(TNF-α阻害薬)は耐性がついてしまい、だんだんと効かなくなる可能性のある薬だという情報を知らずにいました。

 

そして、その恐れていた時は想像していたように突然来るのではなく、じわじわとやってきました。

 

今から数年前、エンブレルを使って10年以上が経とうとしていた30代も半ばに近づいてきた頃、変化は始まりました。

(※注:医師にはっきりと言われた訳では無いので、それが耐性がついてしまった為なのかは、はっきりとはわからないのですが、ちょうど薬の耐性がついてしまうといわれる10年を過ぎた頃から起こった変化であったため、関連があるのではないかと自分自身で考えており、その予想に基づきつつ記述していきます。)

 

体感として何となく効きが悪い?何となく前より効いていないのでは?と感じることが多くなりました。

 

具体的には、今まで痛くなったことの無かった肘が痛くなり、その痛みが年単位で取れず日常が不自由になったり、手首の痛みにしても、痛みの発現の間隔が短くなったり、じわじわ常に痛いような状態になったり、注射を打てば少し楽になっていたような軽めの痛みもそれ以前のようにすっきりと効いた!というような変化が起こらない、、それまでとは何か違うと感じることが多くなりました。

何だか効きが悪いな、、、と感じる程度の変化は、積み重なるうちに、確実に日常生活を不自由にしていきました。

どれだけエンブレルに助けられていたのかを思い知りました。

 

ただ、あまりにじわじわと変化が起こった為、”あれ?困ったな、、、” ”あれが出来ない、、これも不自由だ、、、”というような具体的な困り感はあっても、”まさか、、、薬が効かなくなってしまったのでは!?”というような最初に想像していた衝撃やショックはほとんど感じませんでした。

ちょうど生活のスタイルが大きく変わった時でもあったので、家事で手を使いすぎたんだな、、、薬が追いつかないくらいに使ってしまったんだな、、のような気持ちもありました。

 

実際に、生活が変わってそれまで以上に色々なことに気を配るようになった(=神経を使う場面が増えた)ことも体調に変化をもたらしていたと思います。

ただそれは自分で選んだ大切なことだったので、そのことで悪くなるのは仕方がないし、うまく調節しながら乗り越えなければなと感じていました。

 

さらに、その変化に合わせて、お金を節約したい思いが強くなり、エンブレルのジェネリックのような薬”エタネルセプトBS”に変えていました。

薬を変えた時期と体調が変化した時期が少しかぶってはいるのですが、もともとTNF-α阻害薬自体の効果が私の身体に出づらくなったタイミングだったのかもしれず、薬の変更と体調の変化に因果関係があったのかは未知です。

ただ金銭面がかなり楽になったことだけは事実でした。

(薬を変更する際、主治医の先生に全く同じ効果があるとは保証はできないという説明は受けていました。それでも生活と金銭面の両立を優先した結果、薬を変えたという流れがあります。)

 

生活に不自由が出てきて、何とかしたいと思った私は、鍼灸の治療を受けたり、漢方を処方してもらったり、何か打開策がないかと思いつく治療を増やしてみていました。

鍼灸はとても効いて、当日から数日間は肘の痛みもかなり楽になるのですが、しばらくすると元に戻ってしまうのが私にとっての実感でした。

漢方については効果が出るのに時間のかかる薬であるので、その日に困りごとがあって悩み続けていたその時は、ゆっくり出てくる効果を待てなかったというのが当時の思いです。

 

この頃、再びリウマチや薬のことについて調べるようになったことで、TNF-α阻害薬には耐性がついてしまうことがあるということを知りました。

しかもちょうど耐性がついてしまうとされる年月と、私が使用していた期間が近かったため、まさか、、、??という思いが出てきて、本格的に不安になり始めていました。

 

もっと根本的に良くならないと日常が辛い、、という中、早く何とかしたいという思いが強くなっていきました。

その頃、引っ越した後も主治医を変えず県外の病院に通っていたのですが、体調も良くなくなって通うのも大変になってきていました。そんな時、近くの病院に良い先生がいらっしゃるということを教えていただき、何とか打開策を得たいという気持ちが高まり転院をすることを決めました。

 

(本当に長い間お世話になったクリニックだったので、焦りの中転院を決めてしまい申し訳ない思いも残っています。)

 

転院した総合病院の先生はとても厳しい方でした。

ですが、その厳しさに救われることになります。

 

実は、リウマチの治療薬の基本である飲み薬”MTX”(私はリウマトレックスを飲んでいたので以降リウマトレックスと書きます)ですが、発症以後個人的に効果を感じたことがなく、効果は感じないのに、胃の不快感や吐き気というか違和感、重だるさというような副作用だけはしっかり感じてしまい、本当にカプセルを見るだけで胸焼けがするという状態でした。

それ故に、体調が悪くなってきていてもどうしても嫌で、飲んだり飲まなかったり(飲めなかったと言いたいところですが)ときちんと毎週服用することを守れずにいました。

 

そんな自分ですら服用をきっちり守るようになったのは、新しい先生が非常に厳しかったおかげでした。

あの先生の指示を無視するなんてあり得ないことだ、、、という少なくない恐怖の中で、全く効果を信じられなかった胃腸をとてつもなく不快にする薬を毎週毎週、リウマチを発症した最初の1年目くらいの真面目さできっちり服用しました。

食欲は落ち、常に胃は不快、、、少し調子がマシになった頃には次の服用の日がやってくる。

本当に辛い、、、!!!と思いながらも、必死に半年ほど続けた結果。

 

 

体調が以前のように回復しました。

 

 

常に痛いところがあって、人の手を借りなければできないことが色々と出てきて、家事も仕事も趣味も思うようにできなくなって辛さを感じていた日常に平穏が戻りました。

 

リウマチを発症した頃、全く効果が感じられず、自分には合わないのだと思い込んでいたリウマトレックスに救われる時が来ようとは思っていませんでした。

 

実は転院前のクリニックの先生もちゃんと飲むようおっしゃっていたのですが、経験からどうせ効かないと思っている上に、副作用への拒否感からその時はどうしても飲み続けられませんでした。

またエンブレルが身体にとても合っていたからか、ほぼ10年間の間リウマトレックスをちゃんと服用しなくても十分に効果が得られていると自分で思い込んでしまっていました。

今思えばきちんと飲んでいればもっと数値が下がっていたり、突然悪くなるという症状も少なくなっていたのかもしれません。

(言いつけを守らない不良患者で申し訳なく思います。ただ本当に拒否したくなる辛い副作用が私には出ていたので、その自分を頭ごなしに否定してしまいたくない気持ちもあります。)

 

そうして、またしばらく痛みのほとんどない生活が続きました。

長引いた炎症の影響で、それ以前と全く同じという訳には中々いかないのですが、それでも本当に楽になった、薬が効いて体調が落ち着いたと感じました。

料理もできて、人の手を借りなくても一通りの生活ができて、仕事にも行けるようになりました。

 

本当に、もう戻らないのでは?という不安もよぎっていたので、ここまで良くなったことに心から感謝しながら、できるように戻った数々のことに喜びを感じていました。

 

その頃私は30代も半ば。

新婚でした。

 

すっかり体調が良くなってきて、次の段階の希望を持ち始めていました。

具体的にいえば、妊娠、出産への希望です。

ただ、それにはせっかく効果があったリウマトレックスを辞めなければならない。

 

次回は、当初のイメージと変わって自身の健康をしっかり支えてくれた、リウマトレックスを辞めることを主治医に相談した話。

そこからどうなったかについて、まとめていきたいと思います。

 

もう大分現在に近づいてきているので、自己紹介のかわりに書き始めたこの経過を簡単に(簡単と言いつつ毎回大変長くなっています)の一連の話も区切りになると思います。

以降は様々なトピックに分けて投稿していきたいなと思っています。

 

それでは、今回も長文にお付き合いいただきありがとうございました。

 

※リウマチは、本当に患者さんの数だけ症状のあるような多様な症状の病気だと感じます。一体験談として、こんな人もいるんだという程度に読んでいただけたら、その上で何かしら参考になるようなことが少しでもあれば幸いです。